警官の長い一日

このテキストは、女房の証言を元に構成された実話です。

女房が隣町へ出かけた帰り道。十字路に侵入しようとした瞬間、路地の影から白バイが「ぶおぉーん!」
警官 「やっちゃいましたねー。こっちは優先道路じゃないんですよ。ほらここ、停止線あるでしょ。一時不停止ですね」
女房 「えっ? ああっ! すみません、ついうっかり‥‥」
警官 「免許証を拝見します」
女房 「免許証‥‥。あれ? ないっ? ない! す、すみません、忘れちゃったみたいで‥‥」
警官 「一次不停止に免許証不携帯ですかっ」
女房 「すみません、すみません」
警官 「免許証不携帯じゃ、車運転して帰れませんよ。降りてください」
女房 「ええっ! こんなところに車を置いていかなきゃいけないんですかっ?」
警官 「だって、免許証持ってないんでしょ? だったら車運転できないでしょーが」
女房 「こんなところからどうやって帰って、どうやってまた取りに来ればいいんですかっ? 駅は遠いし、バスは走ってないし‥‥」
警官 「後日、ご主人にでも取りに来てもらうんですね」
女房 「うちの主人はそんなことしてくれません」
おいおい、ひでぇ言われようだな。
女房 「免許証不携帯は見逃してくれませんか? 車がないと帰れません」
警官 「だめですね。免許証を持ってない人に、運転させるわけにはいきません」
女房 「そこをなんとかっ!」
必死に粘る女房。数十分におよぶ粘りの末、とうとう警官が折れ、
警官 「しょーがないなー。それじゃ、あなたの車をボクが運転して、あなたをご自宅まで送ってあげますよ。助手席に乗ってください」
ままマジですくわ?! 蓮田の警官は親切だあ!
女房 「お巡りさんのバイクはどうするんですか?」
警官 「ここに置いていくしかないでしょ。後で取りに来ますよ、しょーがない」

警官の運転で、無事に自宅まで車とともに帰宅――。
警官 「今度からはちゃんと免許証を持ってるか確認してから乗ってくださいよ。それじゃ、ボクはこれで。バイク取りにさっきのところまで戻らなきゃ」
女房 「ええっ、いまから取りに戻るんですかっ? 大変ですねぇ」
お前のせいだろーが。

ところが、一時間も過ぎた頃、自宅に一本の電話が‥‥
警官 「あ、奥さんですか? ボク、さっきの警官です」
女房 「ああ、先ほどはお世話になりました。まだなにか?」
警官 「あの〜、それが、やっとバイクのとこまで戻ってきたんですが‥‥ないんです、キーが。もしかして、奥さんの車の運転席の下あたりに落ちてませんかね、バイクのキーが」
女房 「はあっ?」
女房が運転席の下を見ると‥‥案の定、「ぽちんっ」と落ちていた。。。
あいやぁ、キー不携帯かよ。ちゃんと確認しようね、キーを持ってるか。(笑)
警官 「やっぱりありましたか。。。しょーがない、いまからもう一度、ご自宅に伺います。(涙)

かくしてこの警官は、再び家まで戻り、キーを受け取り、さらに再び白バイのところへと戻っていった。あわれ、うちの女房に関わったのが運のつき。