このひとが噂の？
関連話: 2003/8/22「某メーカーの若手たちとの飲み会にて」
広いオフィスの片隅から、女性の怒号が聞こえてくる。なんだろう。
見に行ってみると‥‥仁王立ちして怒っている女性が‥‥。
「なによこれ、シーケンス*1通りに組んでないじゃない！」
「ぜっんぜん違う！ 動くわけない！」
「ちょっとあんた、前回の結合テストのときも、シーケンス通りになってなかったよね！ なんなのこれは、えー！」
「まったく、どーなってんだこりゃ、あー！」
「うるさい謝るな！ 謝ればシーケンス通り動くのか！」
こ、こんなすごい怒りっぷりの女性は、もしかして‥‥これが噂のゆきえさん？
怒られている男の技術者は、米つきバッタのごとく頭を下げ、壊れたレコードのごとく「すみませんすみません」を繰り返し、花のぴゅんぴゅん丸の弟のごとく泣き出しそうだ。
他の男たちは誰も彼を助けようとはせず、「良かった。俺のモジュール*2じゃなくて本当に良かった」としっかり顔に書いてあり、自分に矛先が向かぬよう、ペンを握りしめて「シーケンス通りに組め。シーケンス通りに組め」と全力でメモを取っている。
思わず立ち止まり、その様子を見ていると‥‥や、やべ、目があっちまった。ど、どうすればっ。‥‥そうだ！ すかさず手帳を取り出し、「シーケンス通りに組め。シーケンス通りに組め」と全力でメモを取る私。って、どーして俺が！？ 怒られないうちに帰ろ。お先でーす。
