歯抜けのトム

これ、本人に黙って書いちゃっていいのかな。。。でもきっと、
「あ、いいっすよー」
と言うに決まってるし。(^^;

本当に言うかどうかはともかく。(^^;;


私の所属部にトムという男がいる。彼は今、とあるプロジェクトの開発リーダーを務めており、辺境の地で日夜厳しいスケジュールと戦っている。彼の集中力は凄まじく、いつも頭の上に集中力の輪ができており、深夜の3時を過ぎてもその集中力の輪がきんきらりんと、♪きんきんきらきら夕日が沈むぅ〜って歌ってどうするっ! しかも沈むなぁっ! というツッコミはさておき、とにかくきんきらりんと輝いている。

この男、なかなかの二枚目なのだが、
「確かにお洒落で二枚目だけど、でもなんだか新橋あたりで酒飲んでクダまいてるサラリーマンって感じが年々強くなってきた」
などと言われちゃってたりするお茶目な面を持っている。


ある日、いつものように激務を終えたトムは、疲れてるんだからよせばいいのに、同じプロジェクトのメンバー達と飲みに出かけた。そして、あーあ、やめとけばよかったのに、カラオケへ行った。そしてさらに、あーあーあーあー、だからやめろって言ったのに、って誰も言ってないけど、ステージに立って歌った。そして、、、日ごろの激務が祟ったのだろう、なんと歌い終わった途端に気を失ってしまった。

やばいと思ったら歌の途中でやめりゃあいいのに、どうして最後まで歌い切るっ!

「どがっしゃーん!」
気絶したトムはステージの上から倒れ落ち、あろうことか前歯で受け身を取ってしまった。ええそりゃあもう、口じゅう血だらけ。(笑)

わーっはっはっは。ばっかでぇー。(笑)
いったいどうすりゃ前歯なんかで受け身取れんだよ。(笑)
手を出しゃいいのにさー。(笑)
って、気絶したのに受け身なんか取れないよね。(爆)
あーっはっはっは。(笑)
え? 笑い過ぎ?(^^;

救急車の中で意識を取り戻したトムは、はじめ自分の状況が分からなかった。
「あ、口が、いたひ」
ふと見ると、直属の上司と先輩が付き添ってくれていた。
「なんれらろ。あ、でも、口が、いたひ」
彼の前歯はごっそりと消えていた。もー、せっかくの二枚目が台無し。(笑)

わーっはっはっは。だーっはっはっは。ぶわーっはっはっは。(笑)
え? だから笑い過ぎ?(^^;

こうなればもう差し歯を入れるしかない。しかし、1本につき10万円、合計70万円かかると言われ、あわれブルーになるトム。しかもすぐに入れることができず、前治療に数ヶ月を要してしまった。

おかげですっかり歯抜け顔が板についてしまい、ポッキーを口にして、
「か、噛めなひ」
などという一発芸を習得するまでに成長した。

あの一発芸だけは、
「うーむ。あの芸、宴会でやったら絶対に大ウケ間違い無しだな」
などと、ほんのちょっとだけ羨ましかったりした。(笑)
しかしまだまだ青いな。俺は煙草を使った芸を考えついたんだぜ。
でも教えてあげないよーだ。:-P

おまけに、レモンの飴を舐めながら話しかけてくるものだから、歯の隙間からそれはそれはい〜い匂いがすーすー香ってきて、思わずくらっときてあやうく抱きしめそうになったりして、しかも歯が無いから発音が危なっかしくて、まるで香水を付けた女から酒に酔って迫られているかのような錯覚に陥ってしま・・・とにかくっ! 周囲に与える影響も計り知れないものがあった。(汗)

念のために言っておくが、私はノーマルだ。
変なメール送ってこないよーに。>男性読者の方々


そして一昨日、ついに差し歯を入れる日がやってきた。午前中に病院へ行き、午後からさっそうと登場したトムだったが・・・
「お前、、、誰?」

前歯だけヤニがついてなくて、そこら辺だけ妙に真っ白。(笑)
しかも登場シーンが、工場内の社員食堂ときたもんだ。(笑)