会社の引っ越し作業

会社の引っ越し作業。仕事上がりに飲んで、終電の一本前の電車に乗る。

「お客さん、お客さん」
何度も肩を叩かれて目が覚める。
「は、はひ?」
「降りてください」
こ、ここはどこ? え〜と、あれ? 字が読めない。ああ、眼鏡かけてないんだった。眼鏡をかけて、と。あれ? やっぱり読めない。ちょっと気合いが足りんな。気合を入れて、と。さあ読むぞ。た、か、さ、き。ああ、高崎かぁ、なぁ〜んだ。っておい、高崎って終点だろ! あーよかった、前橋行きの電車じゃなくて。ってそういう問題じゃない! いま何時だ。えーと、1:30か。もう、電車、ないな。。。

学生時代、終電の勤務を終えた運転手さんに、
「お疲れ様でーす。ま、煙草を一本どうすか」
「ああ、どうも」
「火、おつけします」
「お、すまんね。。。ふー」
CABIN、美味いすか」
「ああ。ふー」
「ところで、ものは相談なんですが、もう一本だけ上り電車、走らせてくれませんか」
「はあ?」
「ああ、柏まででいいんです、柏までで。ねぇ、運転してくださいよぉ」
とやって怒られたことがあったけど、さすがに社会人でそれやったら、もっと怒られるだろうし。。。

しかたない、いくらかかるかわからないけど、タクシーで帰るか。あの〜、駅員さん、タクシー乗り場へ行くにはどっちの階段を‥‥え、もうタクシー終わってる? どうしよう。。。え、待合所があるの? じゃあ、そこで夜明かしすっか。

えーと、だるま待合所、ああここか。はい、ごめんなさいよ。げ、なんだか危なそうな人達がたくさんいる。なんなんだ、こいつらは。。。(汗)

あなたホームレスの人? あああ”、ごめんなさいごめんなさい、そんな眼で僕を見ないでぇ。(^ ^;;

あなたサラリーマン? わたしねぇ、新白岡に家を買ったんですよ、これがまたいいところでねぇ。え? 話しかけるな? いやーすいません、わたし今日は酔っぱらっちゃって、いまはまだ宮原に住んでるんだけど、今日は寝過ごしちゃって。え? だから話しかけるな? さてはあなた常連さんでしょ、ほら図星だ、はっはっは、だってそんな顔してるもん、うちの会社のOさんにそっくり、わっはっはっは。え? 黙ってろ?

おや、あなたもサラリーマン? なんだか眼をぎらつかせて腕組みして、眠る気ないみたいね。おお、そう言えば、深夜の駅の待合所にスリがいるって、以前テレビでやってたぞ。確かグループで行動するとか。ど〜もあいつとあいつは怪しい。。。お前だろっ。( -"-σ あ、いや、その、なんでもないです。あはは。(^ ^;

うーむ、なんだか、ここ、いづらいな。。。早く朝にならないかな。。。

おお、そうだ、とりあえず家に電話入れとくか。でももう寝ちゃってるだろうからやめとくか。いやしかし「電話をかけた」という証拠を残しとかないと、後で何言われるかわからないし、やっぱりかけとこう。って、PHSのバッテリ切れてるし。しかたない、公衆電話から。。。話し中だし。もう一回かけてみよう。まだ話し中だし。ま、煙草を一本吸って。もう一度。まだ話し中だし。じゃあ、もう一本吸って。お、やっと繋がった。
「どこにいるのっ!?」
げ、いきなり怒ってる。(- -;
「なんでPHSが繋がらないのっ!?」
「バ、バッテリが切れちゃって」
「どうしてバッテリが切れるのっ!?」
「ど、どうしてって言われても、これあんまり充電できないし、そもそも通話に使うために持ってるわけじゃないし、これをノートPCと繋げて‥‥」
「あーもうごちゃごちゃと。今どこにいるのっ!?」
「た、高崎」
「たかさきぃ〜? なんでそんなとこにいるのっ!?」
「飲んで、寝過ごして、終点まで来ちゃって」
「どうやって帰ってくるのっ!?」
「帰れない」
「帰らずにどうするつもりっ!?」
「あの〜、俺にも聞きたいことがあるんだけど。。。」
「なにっ?」
「高崎って、何県だっけ?(^^;」
「。。。」

ずっと話し中だったのは、飲んで寝過ごしてどこかへ行っちゃったと思い、高崎線沿線の駅に片っ端から電話をかけて、
「そちらの駅に、酔っぱらって寝ちゃってるサラリーマンがいませんか」
と問い合わせていたらしい。そこまで読めてるんだったら、
「なんでそんなとこにいる!」
って責めなくてもいいのに。。。お蔭で酔いが覚めたけど。(^^;